今回は、会計ソフトを分類、比較することによって、クラウド会計ソフトについて述べてみたいと思います。
世の中では様々な会計ソフトが利用されていますが、中小企業、個人事業者が使用する会計ソフトは以下のように大きく3つに分類できます。
会計ソフト の分類 | 会計事務所専用機型 | パッケージ型 | クラウド型 | |
グループ1 | グループ2 | |||
代表的なソフト | TKC、JDL、ICS、MJS(ミロク)など | 弥生会計、勘定奉行、財務応援など | A-SaaS(エーサース)、 |
freee(フリー)、MFクラウド、弥生オンライン |
時期 | オフコン(オフィスコンピュータ)の時代 1970年代後半から | PCの普及に伴い、1980年代後半から | インターネットの普及に伴い、2010年頃から | 2013年頃から |
導入経路 | 会計事務所経由、 直販 |
量販店など | インターネット | |
デバイス | インストールした特定のPCでしか利用できない | インストールした特定のPCでしか利用できない | どのPCからでも利用できる | PC、スマホ、タブレットなどデバイスを問わない |
仕訳入力 | 必要 | 必要 | 必要 | 自動仕訳、各種連携で仕訳入力作業を大幅軽減 |
簿記の知識 | 必要 | 必要 | 必要 | あまり必要でない |
料金 | 初期導入費用と月額利用料・保守料が発生する。高額。 | ソフト購入費 | 月額で利用料が発生 |
※「ネットde会計」は2018年5月31日をもってサービス終了となります。詳しくは、下記をご覧ください。
→クラウド会計の草分け的存在「ネットde会計(青色申告)」が2018年5月31日をもってサービスを終了
毎月の経理処理の大きなフローは、以下のようになります。
起票(仕訳)→記帳→集計→月次試算表 |
このフローの中で会計ソフトがどのような役割を果たしてきたか、順を追って述べていきたいと思います。
地方の税理士事務所の職員さんには、いまでも、そろばんと手書きで月次試算表を作成される方もいらっしゃるそうですが、1970年代後半の会計事務所専用機型会計ソフト(システム)の登場により、「記帳」以降の処理が会計ソフトで行われ、経理業務の正確性、効率性、迅速性が向上しました。
1980年代後半からPCが普及したことにより、高額で大掛かりな会計事務所専用機型にかえて、自社のPCに直接インストールできるパッケージ型会計ソフトが登場しました。パッケージ型も経理業務の「記帳」以降の処理が会計ソフトで行われ、経理業務の正確性、効率性、迅速性が向上するほか、会計事務所専用機型に比べて、安く導入できるため、中小企業、個人事業者向けの会計ソフトにおいて主流になってきました。
インターネットの普及、通信速度の高速化に伴い、2010年頃からクラウド型会計ソフトが登場します。クラウド型会計ソフトといっても大きく2つに区分されており、➀単にパッケージ型会計ソフトと同じようなものをブラウザ上で操作できるにしたにすぎないグループと➁銀行口座やクレジットカードなどのデータを自動で取り込むグループに区分されます。
手書きから始まりパッケージ型の会計ソフト(クラウド型会計ソフト グループ1)までは、「起票(仕訳)」の段階での入力作業は、マンパワーにたよならければいけません。そのため、手間がかかるばかりか、入力ミス、起票漏れ、勘定科目のミス等の仕訳の誤りが発生する可能性が高くなります。
一方で、freee(フリー)、MFクラウドといったクラウド会計ソフトは、「起票(仕訳)」段階でテクノロジーやビッグデータを活用して、経理業務を自動化・効率化するものです。
銀行口座などとクラウド会計ソフトを自動同期をかけていれば、取引明細を網羅的かつ正確に自動で読み取りますし、自動仕訳ルールを正しく設定しておれば、勘定科目のミスも軽減されます。また、現金取引であったとしても、スキャンや他のクラウドアプリを利用することで、経理処理を自動化・効率化できます。
すなわち、freee、MFクラウドといったクラウド会計ソフトは、経理業務フローの「記帳」以降のみならず、一番上流の「起票(仕訳)」段階から経理業務を自動化・効率化する会計ソフトです。