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クラウド会計のデメリットについて【コラム】

広島県福山市の公認会計士・税理士の三吉孝治(みよしたかはる)です。

当ホームページでクラウド会計のメリットについては触れさせていただいていますが、今回は一般に言われているクラウド会計のデメリットについて述べてみたいと思います。

1.インターネットに接続できる環境下にないと使用できない。

これは確かにそうです。クラウド会計に限らず、クラウドサービスすべてがそうだと思います。

PCやモデムなどの機器の問題やプロバイダーなどサービス提供側のサーバーに異常が起きている場合のほか、バッテリー切れ、私の場合で恐縮ですが、新幹線での移動中にトンネルが連続しインターネットに接続できなくなる(特に広島―岡山間)などがよくあります。このような場合は、クラウドを利用して仕事ができなくなります。

2.会計ソフトのログインIDとパスワードさえあれば、どこからでも、どのデバイスでも会社の会計情報が分かるためセキュリティ面で不安が残る。

確かにそうです。クラウド会計に限らず、クラウドサービスを利用されるにあたっての一番の不安材料がセキュリティだと思います。

しかし、これについては、PCのログインや他のインストール型のソフトと同様にパスワードを定期的に変更するなどの対応ができます。今後、クラウド会計ソフトのほうから定期的にパスワードを変更するようアラーム等が出てくればよりいいと思います。

一方で、このデメリットがセキュリティ面で有効に働く場面もあると思います。
最近では、会社のデータが入ったノートPCなどを持ち歩いて仕事をしているケースが多いと思いますが、不幸にもPCを紛失してしまった場合、捜索や中に入っていたデータの調査等に多額のコストがかかるそうです。
しかし、クラウドでデータを保存していたらどうでしょうか。ノートPCの中にはデータはありませんから、データを抜かれることはありませんし、他のデバイスからログインし、パスワードを変えてしまえば大切なデータは守られます。

このデメリットは、ユーザーの捉え方によってデメリットになるか、そうでないか、分かれると思います。

3.現金取引の多い業種では、クラウド会計のウリの一つである預金やクレジットカードのデータ取込機能があまり役に立たない。

これは、そうではありません。

例えば、飲食、小売、美容院などの現金取引が多い業種でも、Airレジ、ユビレジなどクラウドのPOSレジを利用すれば、レジ締時間後に自動でデータ連携し、自動で売上の仕訳を作成してくれます。

また、交際費など、こちらが代金を支払った際にいただく紙の領収書については、領収書をスキャナやスマートフォンで画像として保存することにより、OCRで仕訳に必要な要素(日付、金額、取引内容、取引先等)がある程度テキスト化され、仕訳入力の補助をしてくれます。
Streamedなどの別のサービスを利用すれば、領収書をスキャナで読み取り、クラウド上にデータをあげれば、翌営業日までに仕訳を作成し、データで納品してくれます。

freee OCR

上記の例では、仕訳に必要な要素の日付、金額がOCRでテキスト化され、入力されています。
※OCR(光学式文字認識):画像などを解析して、その中に含まれる文字を検出し、テキストデータとして取り出す技術

4.大量の仕訳入力には向かない。

大量に仕訳入力をするようでは、そもそもクラウド会計ソフトを使う意味がありません。

クラウド会計は経理業務における面倒な入力作業を軽減してくれます。クラウド会計は、入力をしない状況をいかにつくるかが重要になってきます。 例えば、以下のように業務フローを工夫することもポイントになります。

  • ネットバンキングを開設する(ネットバンキングで振込等のお金の移動をしなくても構いません。口座の明細データを照会できる状況にするだけで十分です)。
  • 現金取引をなるべく少なくし、クレジットカードやICカード(Suicaなど)を利用する。

要は、取引の内容を紙で入手し、入力するのではなく、取引を行った段階でいかにデジタル化するかが重要です。そうすれば、各所に散在するデジタルデータをインターネットを使って集約してくることは、クラウドの大得意とすることであり、クラウド会計の真骨頂が発揮されることとなります。

それでも、入力したい方に対しては、高速入力モードが準備されています。

【まとめ】

上記1,2のような環境的、物理的、意識的なことに起因するデメリットはインターネットで提供されるサービスの根本的なデメリットであって、クラウド会計固有のデメリットとは言い難いものだと思います。

一方で、上記3,4のような機能的なことに起因するデメリットはテクノロジーが解決してくれると思います。
最近は、プロダクトやサービスについてUX(ユーザー・エクスペリエンス)を最大限にすることがトレンドです。freee㈱や㈱マネーフォワード(ソフト名はMFクラウド)といったUXに重きを置いている会計ソフトベンダーは、ユーザー側からのデメリットや問題点の提起に対応し、機能を追加・向上してくれます(実際、ここ1年でも多くの機能追加・向上があります)。その意味では、クラウド会計はユーザー目線のユーザーが育てていく会計ソフトだとも言えます。