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【電子帳簿保存法改正】 スマホで撮影した領収書でも電子保存できるようになります

スマホを操作するイメージ

平成29年1月からスマホで撮影した領収書等でも電子保存できるようになります。
電子保存を開始する3ヶ月前に税務署への申請が必要で、平成28年9月30日から申請が開始されています。
また、適正公平な課税の確保に必要な一定の要件にしたがって保存等を行うことが条件とされています。

◆どんな書類がスキャナ保存の対象になるの?

スキャナで保存できる書類は、帳簿、決算書等以外の国税関係書類となっています。(電子帳簿保存法 第3条3項)

国税関係書類は、「資金や物の流れにどの程度、直結・連動するか」に応じて3つに分類されており、取り扱いが異なることもあります。例えば、一連の取引をとっても、見積書、契約書、納品書、請求書、領収書など多くの書類が出てきますが、それぞれ分類が異なっています。

No. 資金や物の流れに直結・連動する程度(重要性) 書類の性質 具体的な書類 スキャナ保存対応
(1) ➀一連の取引過程における開始時点と終了時点の取引内容を明らかにする書類
➁取引の中間過程で作成される書類の真実性を補完する書類
契約書領収書 スキャナ保存できる
(2) ➀一連の取引の中間過程で作成される書類
➁所得金額の計算にあたって必要な書類
預り証、借用証書、預金通帳、小切手、約束手形、有価証券受渡計算書、社債申込書、契約申込書、請求書納品書、送り状、輸出証明書
(3) 資金の流れや物の流れに直結・連動しない書類 検収書、入庫報告書、貨物受領書、見積書注文書、契約申込書
帳簿 仕訳帳、総勘定元帳、補助簿、固定資産台帳など スキャナ保存できない
一貫して電子データで作成すれば電子保存等ができる
決算関係書類 棚卸表、貸借対照表・損益計算書など

以前は、上記表において「重要性:高」に分類される契約書、領収書については、金額が3万円未満のものしかスキャナ保存の対象になってませんでしたが、H27年度税制改正により、この金額の制限が撤廃され、帳簿、決算書等以外のすべての国税関係書類がスキャナ保存の対象になりました。

◆スキャナ保存するための要件

領収書等の紙の書類をスキャナで保存するためには、改ざん防止と原本との同一性確保の観点から➀真実性と➁可視性の2要件を満たす必要があります。以下、まとめてみました。

▶︎真実性の確保

(1)適正事務処理要件(内部統制の構築運用)

次の事項に関する規程を定めるとともに、これに基づき各事務を処理している。
➀【相互牽制】
受領者等以外の者が記録事項の確認(必要に応じて原本の提出を求めることを含む)を行う体制
➁【定期的検査】
各事務に係る処理の内容を確認するための定期的な検査を行う体制及び手続
➂【再発防止】
各事務に係る処理に不備があると認められた場合において、その報告、原因究明及び改善のための方策の検討を行う体制

《小規模事業者の特例》

上記の要件を満たすためには、最低3名(受領者、経理担当者、監督者)の従業員が必要ですが、小規模企業者においては特例で➁【定期的検査】を税理士が行うことができます。また、【定期的検査】を税理士に依頼すれば、➀【相互牽制】要件も不要になります。したがって、最低2名(受領者、税理士)での運用が可能になります。

※小規模企業者:おおむね常時使用する従業員の数が20人(商業又はサービス業については5人)以下の企業者(中小企業基本法第2条第5項)

(2)関与者情報

国税関係書類に係る記録事項の入力を行う者またはその者を直接監督する者に関する情報を確認できること

(3)スキャナのスペック基準

  • 平成28年税制改正以前は、スキャナについて「原稿台と一体型に限る」とする要件がありましたが、これが廃止されたことにより、スマホ、デジカメ、ハンディスキャナで撮影されたものについても電子データで保存できることとなりました。
  • 解像度が25.4ミリメートル当たり200ドット(200dpi)以上
  • 赤色、緑色及び青色の階調がそれぞれ256階調以上

(4)タイムスタンプ

  • スキャンデータと紙の領収書等が同等であることを確認してタイムスタンプを付与すること
  • 一般財団法人日本データ通信協会が認定する業務に係るタイムスタンプであること

(5)読み取り情報の保存

スキャナで読み取った際の解像度、階調及び当該国税関係書類の大きさに関する情報を保存すること (スマホの場合)A4以下の大きさの国税関係書類については、大きさに関する情報の保存を要しない

(6)ヴァージョン管理

訂正または削除を行った場合、これらの事実及び内容(履歴)が確認できること

(7)入力期間の制限

➀早期入力方式

領収書等の国税関係書類を作成または受領後、経理担当者が速やかに(1週間以内)スキャンしタイムスタンプを付与して入力。 (スマホ等の場合) 領収書等の国税関係書類を作成または受領後、その者が特に速やかに(3日以内)にタイムスタンプを付与し入力。

➁業務処理サイクル方式

当該業務に係る通常処理期間(おおむね1ヶ月程度)終了後、タイムスタンプを付与し入力。

➂適時入力方式

一般書類(重要性:低の書類)にのみ適用され、入力期間の制限なく適時に入力できる。

▶︎可視性の確保

(1)帳簿との相互関連性の確保

スキャナ保存した領収書等(国税関係書類)が会計帳簿(国税関係帳簿)と紐づけられている(リンクしている)こと。

(2)見読可能装置の備え付け

スキャナ保存した国税関係書類をカラーディスプレイやカラー印刷で整然かつ明瞭な状態で、速やかに出力できること(「重要性:低」の書類は白黒でも可)。 また、見読可能装置の操作説明書を備えおくこと。

(3)会計ソフトの説明書等の備え付け

会計ソフトの概要を記載した書類や操作説明書などを備え付けておく。

(4)検索機能の確保

電子保存した領収書等について次のような条件で検索できること。

  1. 取引年月日、勘定科目、取引金額等の検索条件で検索できる
  2. 日付、金額については、その範囲を指定して検索できる
  3. 二つ以上の条件を組み合わせて検索できる

◆スキャナ保存するための手続き

スキャナ保存をする3ヶ月前に申請書を税務署に提出(手数料無料)し、税務署長の承認を受けなければなりません。なお、事業年度の途中であっても紙保存から電子保存へ変更できます。

《申請書類リンク先》
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/3030_01.htm